スライムスレイヤー ~イシノチカラ~

作者:亜形


第67話 大型店舗に行ってみよう


 武器防具屋『雷神』にいるトウマ、セキトモ、イズハの三人。店を出る頃には雨は止んでいた。

「良かった。大盾持って来たとき少し雨降って来たけど止んだみたいだな。
 遅くなったからこっちで昼食済ませて行く?」

「中心部まで馬車で30分くらいですよね?
 ここはガマンして中央広場の屋台で食べ歩きってのも捨てがたいですよ」

「あー、それもありだね。イズハどっちがいい?」

「自分は屋台に興味あるっす」

「よし。じゃあ、少しガマンして中心部へ行こう!」

 三人は乗合馬車で都市の中心部に向かい、中央広場前で馬車を降りた。

「着きましたよ!」

 中央広場は円のようになっていて囲むように高い建物が立ち並んでいて中心には噴水があるようだ。広場内には多くの屋台や露店があり多くの人が行きかっている。通る馬車もこの広場を抜けるまではかなりゆっくり進んでいるようだ。

「いい匂いするっすね」
「焼き鳥に牛肉の串焼き、鶏の唐揚げ、焼きそば、なんか色々な屋台ありますよ!」
「トウマ、慌てるなよ。食べ物は逃げやしないから」
「逃げないけど消えてなくなるかもしれないですよ。早く行きましょう!」
「分かった、分かった」

 三人は一通り屋台の食べ物を堪能した。

「もうお腹いっぱいです」
「自分も」
「だからほどほどにしろって言ったのに食べ過ぎなんだよ。
 もう来れないってわけじゃないのにさ」
「雰囲気にやられましたね」
「匂いで誘ってくるっすよ。こっちおいで~って。凶悪で逆らえなかったっす」

 次に南東側にある三階建ての大型店舗に行ってみようということになった。ここも人の出入りが多いようだ。

「見るものいっぱいありそうだから店内は自由行動にしよう。
 夕方になったらここに集合な」
「分かりました」
「何が置いてあるか楽しみっすね」

 イズハは三階から攻めるようだ。あっという間に階段を昇って行った。

 トウマとセキトモはとりあえず一緒に回る。一階は主に衣類や調理器具、皿などの生活雑貨や道具関連が置いてあるようだ。討伐者以外の一般の客も多く来ている。

「おい、トウマ。こっちに魔石コンロが沢山あるぞ」
「ホントだ。60万って、高っ!
 バンたちが買ってきた魔石コンロ50万って言ってましたよね?」
「同じものみたいだし10万得してるぞ。宿場町のは安売りだったのか。
 この辺りは魔石を使った商品が多いみたいだな。
 魔石ライターに魔石ランタン、魔石ストーブなんてのもある。
 火を扱うものばかりって感じか。
 ストーブはさすがに燃費が悪すぎるような気もするけど、非常用かな?」

「魔石ランタンは持っててもいいかもですね。
 洞窟に行ったときとか役に立ちそう」

「こっちはポーション関連か。
 解毒ポーションに解麻痺ポーション。お、上級ポーションがあるみたいだぞ」
「25万、高っ! でも深い傷も処置が早ければ治せるようですね」
「一つくらい持っておきたいけど消耗品だからな。
 深い傷が治せるなら安いと考えるべきなのか? よく分からないね」

 上級ポーションも博士が使った治癒の薬とは違うようだ。

 しばらく見て回ったあと二人は二階に行った。二階は初級から中級討伐者向けの武器、防具関連が置いてあり、討伐者しか来ていないようだ。

「お、ここも抗魔玉は置いてありますね。
 南門付近の道具屋にもあったけど売値は同じか」
「都市の大型店舗だからって安い訳じゃなかったね。どこで買っても一緒なのかな?
 欲しいけど装備買い替えるかもしれないから一旦保留だな」

 二階は価格帯が低めなのか武器は1スロットタイプしかないようだ。

「防具は見てもよさそうだけど、僕らは今後を見据えて三階を見るべきかもね?
 今日は見るだけの予定だし」
「そうですね。三階に行ってみましょう!」

 二人が三階へ昇ると上級討伐者向けなのか客が極端に少なくなった。置いてある品は50万以上する高価な品ばかりのようだ。

「目玉商品『真魔玉』って書いてありますけど置いてないですよ。
 尚、次の入荷は未定で予約は受け付けてないって」
「この感じだと出た瞬間に売り切れるのかもな。価格も書いてないし時価なのかも。
 トウマ、ここからは別行動にしよう。
 僕が見たいものとトウマが見たいものは違うだろうからさ」
「じゃ、俺あっち行ってみます」
「またあとでな!」

 トウマはやはり剣が陳列されている場所に行った。

 おー。聞いてた通りワイルド・ライツの三等級の剣は置いてあるぞ。
 細目の剣だけど2スロットタイプだ。120万か、高っ。
 ギルの剣は太目だったからこれはギルが欲しい剣とは違うかもな?
 他の剣もカッコいいし、品質もいいんだろうな~。
 他に目を引くのはベル・ウルフの剣かな。
 あ、ギルが持っていた剣はこれに似てるな? 180万って・・・。

 一番高い剣はガラスケースに入れられた1200万エーペルの宝剣だった。様々な宝石が散りばめられている。

「いやいや。こんな豪華なの実戦で使えないよ」

 思わず声に出してしまった。

 一通り剣を見たトウマは防具を見に行った。

 雷神でオーダーメイドの装備を作って貰うというのも捨てがたいけど一応、見ておかないとな。

 鋼鉄、青銅、銀、金、モンスター素材など様々な材料が使われた防具が軽装備者向け、重装備者向けで並んでいる。

 あ、ライジング・ベアも置いてあるじゃん。
 ガライさん、ここにも卸してるんだ。
 でも雷神で直接買ったほうが安いかも? 知る人ぞ知る直売ってやつだな。

「やっぱ、装備はカッコいいやつがいいよな」

 ヘルムは視界が狭くなりそうだから被りたくないけど守備重視する人は必要か。
 カッコいいやつは宝石ついてたりして高いな。宝石ってつける必要あるのかな?
 あったほうがカッコいいのは確かだけど色付きのガラス玉みたいなのでいいと思うのは俺だけだろうか?

 店内をいろいろ見て回っているうちに夕方になった。トウマが待ち合わせ場所に行くとセキトモとイズハが待っていた。

「すみません。待たせちゃいましたか?」
「僕らもさっきここに来たばかりだよ」
「見るだけのつもりだったのに買ってしまったっす」

「え? イズハ何か買ったの?」

 イズハはハチマキのような額当てを買っていた。額に当てる部分が軽くて堅いモンスター素材のプレートになっているそうだ。頭を縛る青い布部分も痛みにくい丈夫なモンスター素材だという。

 イズハ、その額当て着けたら更に忍者感増すんじゃね?

「白いハチマキは汚れが目立つと思ってたっすよ。
 南門付近にはこんなの置いてなかったので衝動買いっすね。
 額当てと同色の上着も何着か買ったので10万くらい消費したっす」

「僕はいいと思うよ。それなら視界の妨げにもならないし。
 白より青の方が目立たないからモンスターに気づかれにくくなるかもね?」

「そっか。イズハの得意な気配消した行動にも向いてるかもですね?
 真っ黒じゃないから観測者と間違われることもないか」
「そこまでは考えてなかったっす」

「ここだけでも結構時間潰れちゃいましたね。そろそろ帰りましょうか?」

「明日は東門付近を探索だな。その後、北西側にある温泉街で宿に泊まる感じで。
 少し奥に入ると色街があるらしいけど・・・。
 ロッカとバンに絶対連れて行っちゃダメって言われてるからな」

「色街って何があるんですか?」

「トウマさん知らないんっすか? 男の楽園っすよ。
 相応のお金を払えば綺麗なお姉さんと遊べるとこっすよ。
 ムフフなこともして貰えるっす」

「何だ、分かるのは僕だけかと思ってたよ。
 イズハはどういう所か知ってるんだね?」

「観測者時代に先輩達から散々聞かされたっす。
 東大陸にも街の裏通りとかにあったっすよね?」

「そうなの? 男の楽園か~」

 トウマとイズハが鼻の下を伸ばしている。

「ちょ、二人とも、行かないからな!
 気持ちは分からなくもないけどバレて怒られるのは僕もなんだから。
 それに一度行ったら入りびたりになるって話だ、お金全部持って行かれるぞ」

「え?! それはヤバいな、気を付けないと」
「致し方ないっすね・・・」

 少し暗くなったが三人は予定通り博士の邸宅に戻った。
 ロッカとバンも戻って来ていた。

 夕食時にその日の話で盛り上がった。




※この内容は個人小説でありフィクションです。